わたし・久保田雅人(くぼた・まさと)のまわりで起きた「あんなことこんなこと」・・・。
全国でのイベント裏話や名物・名産、身の回りでのささやかな「出来事」をお話していくつもりです。
お読み頂いたご感想やご意見もお寄せください。
登場人物は、ひょっとしたら、「あなた」かもしれません



今回も画像はありません

2015_03_01


 なんとなく春の訪れを感じれるようになってきましたが、皆さんはいかがお過ごしですか。まあ、私は相変わらずの旅暮らしのような日々を送っております。奇妙なことに「寒い時期になると寒いところに呼ばれる」のです。1月、2月という最も寒い時期に福島県や山形県といった東北地方に呼ばれました。どうして九州や沖縄で呼んでくれないのかなあ、暑くなると九州や関西方面が多いんだなあ、これが。今年の夏もすでに7月、8月に九州や関西方面が多数決まっております。まあ、これもある種の巡り会わせというものでしょうか(笑)。

 こうしていろいろな地方にお伺いして思うのが、地方の人口の減少が目に見えて酷いことになっていることがわかります。空き家も多く見ますし、とにかく人見かけるのが少なくなりました。例えばですが、高知県、鳥取県、富山県、山梨県などは県民の総数が東京の世田谷区ぐらいなんですねえ。ちょっと余談ですが、これの数字だけを考えると、県民数、人口の比率から言うと高校野球の場合、高知県代表がいるのなら世田谷区代表がいてもいいんじゃないかなあ(笑)。高知県の皆さん、すみません。

 そして各地の商店街でシャッター街と言われるようなところも数多く見かけました。郊外に大きなショッピングモールができた影響もあって商店街がどんどんさびれていく現状を目の当たりにすると地方における厳しい状況が非常によくわかります。郊外のショッピングモールに来てくれた人たちが他のところでも買い物をしてくれてこそ初めてその地域が活性化するんだろうけど、多くの場合、ショッピングモールだけで買い物をして、そのまま帰っていくパターンだそうです。そのショッピングモールもいつまで人が集まってくれるか心配だという声も聞きました。それから、この頃よく見かけるのが、ゆるキャラというもの。どこに行っても必ずというほどにご当地キャラのイラストや看板、そのキャラにまつわる商品にイベントの開催の案内などをよく見かけます。え〜、着ぐるみと仕事をして25年に以上になる私から言わせてもらいますと、キャラクターの単純に見かけとインパクトだけで注目を集めても決して長続きするものではないということです。

 これと同じように、各地で見かけるのが「なんとか映画祭」とか「なんとか祭り」というような催し物です。ゆるキャラもそうですが、一時的には、もしくはその催し物の開催期間中は人も集まるし、マスコミで取り扱ってもくれるだろうけど、長い目で見るとどうかなあ、という気がします。地方に若い人たちが本当に集まってくれる、つまり定住してくれる企画が必要でしょう。もの凄い昔の話ですが、ニューヨークで不況から人口が激減し、市内に空きビルが大量に発生した時期があったそうです。そこで、ニューヨーク市では、市の予算でその空きビルを買い取り、なんと「芸術関係の人たちのみ入居」という条件で若くて無名の芸術家の卵ばかりを入居させたそうです。映画、演劇、音楽関係で成功を目指す若者に限って入居を認め、しかも家賃が年に1ドル!つまり、100ドル札1枚で1世紀借りれるわけですよ!そうすると、若い芸術家たちがわんさかと入居したそうです。この人たちは、深夜まで起きていていろんなことをするので、この人たち目当てのデリバリーのコーヒーショップやピザ屋が集まってきて繁盛したそうです。そして何よりも入居した芸術家たちによるショウや展覧会が注目を浴びて、全米から毎年多くの観客が集まるようになり、それが現在のニューヨークの芸術祭やショウビジネスの発展につながったそうです。このぐらいに長い目で考えた企画を日本の地方もやるべきだと思います。余談ですが、ニューヨークの入居者で年1ドルの家賃をちゃんと支払った人はいなかったそうですが、それでも、市は追い出したりはしなかったそうですよ。

 一時的な盛り上がりよりも本当にその地方の将来を見据えた内容の事業を考えて企画や催し物をやるべきなんですよ、本当は。誰だって、目先のことしか見えないものです。確かにゆるキャラが大ヒットすれば、年間数百億円の金がその地方に落ちるそうです。これは財政難に苦しむ地方にとっては相当魅力的な話でしょう。でも、ブームはいつかは消えるものです。ブームなんてもっても数年でしょうし、それによって人間がその地方に魅力を感じて移住するとはとても思えません。例えば、そのゆるキャラブームで儲けた金をすぐに使わずにニューヨークのようなやり方で使うことができないものでしょうか。若者の定住化を考えている地方はたくさんありますし、様々な取り組みをしていることは私だって知ってます。

 でも、何かが足りないような気がします。若い世代が本気で定住するような何かが。







戻る