2010_06_01
このところこのコーナーで、番組放送開始20周年にちなみ私の様々の思い出を書いてきました。そこで今回は、思い出すのも悲しい辛かった思い出話です。
以前にもこのコーナーで書いたと思いますが、番組は、木曜日と金曜日にリハーサルを行い、土曜日に本番の収録を行います。リハーサル室では、私とゴロリくんがリハーサルを行っているその横で、造形スタッフの皆さんが、本番で使用する工作物を作っています。私は、番組の中では、いかにも自分が、一人で考えて、一人で造ったようにやってますが、実は、な〜んも考えてはいませんし、テレビで映っている部分を除いてな〜んも作っていません。そうなんです。工作のアイデアは、ヒダオサム先生のアイデアですし、造形スタッフの皆さんが様々の工作群を力をあわせて作ってくれています。そうやって、作ってくれたものを私は、自分が作ったようにお見せしているというわけです。
さて、リハーサルが終ると、作った作品群、セット用の作品等を翌日使用するスタジオに運んでおいておきます。そして、事件は起きました。
土曜日、スタジオに行くと、どことなくざわついた、おかしな雰囲気が漂っているのがわかりました。「いったいなんかあったんですか?」「あっ、わくわくさん、実は・・・捨てられて・・・」「え?何が、何が捨てられたの?」「昨日、作ったものが・・・」「え?どういうこと?」つまり、昨日、スタジオに置いておいた作品全てが、掃除の人に捨てられていたのです。二日間かけて造形スタッフの皆さんが作った作品全部が、本番の当日の朝の掃除の時に全部捨てられてしまっていたのです。掃除の人たちにすれば、私たちが作ったものは、ただのゴミにしか見てもらえなかったということなのでしょうか。確かに、番組を見ていてくださる皆さんにはお解かりですが、作品の多くは、あき箱やトイレットペーパーの芯など普通はゴミとして捨てられてしまうものを基本材料として、様々な工作をし、素敵な作品に仕上げているのです。ですから、そういったものが置いてあれば、見る人によっては、単なるゴミなんですね。もの凄く悲しかった、辛かった。みんなで一生懸命、ゴミとして捨てられてしまうものたちに命を与える素晴らしい仕事をしたと思っていたのに、その人達には、やっぱりゴミでしかなかったのか。そう考えては、元も子もないとわかっていてもどうしてもそう考えてしまいました。何で、どうして、わかってくれなかったのだろうか。スタジオに置いてあるのだから、ただのゴミじゃないってわかってくれなかったのか。もうちょっとよく見てくれたなら、誰か一人ぐらい気が付いてくれたのではないか。言い出したらきりが無いのもわかっていながら、どうしても言いたくなってしまいます。
「今から、ゴミ捨て場を探してみよう。」「今から、急いで作り直そう。」そういった声もでましたが、慌てて作ってもいいものは出来ないから、という理由でその日の収録は、中止になりました。その決断がディレクターさんから伝わった時のヒダオサム先生の涙が忘れることが出来ません。私も本当に泣きたかった、辛かったです。これ以来、作品のスタジオでの保管には細心の注意を払っています。