2008_10_01
まだまだ暑い日が続いていますが、
朝、夕に秋の訪れを感じてます。
そんな中、日本で秋の訪れが最も早いであろう北海道へと旅立ちました。
しかも北海道もオホーツク海側の紋別市におじゃましたのです。
北海道には先月にもおじゃましましたが、
日中はそれなりに夏を感じさせてくれました。
さて、今回は、どんな秋の訪れを感じさせてくれるのでしょうか。
紋別までは、もちろん飛行機で飛びます。
11時5分発の便で紋別へ。
実際のイベントは、翌日なので、
今日の夕方にでも向こうに着けさえすればそれでいいのです。
にもかかわらず、こんなに早い時間の飛行機に乗るなんて・・・って、
これしかないのです。
羽田〜オホーツク紋別便は、1日1往復だけなのです。
つまり、この便を乗り過ごすと、
明日の同じ時間の便になってしまうということであります。
いやはやなんとも・・・しかたのないことでして。
とにかく、スタッフ一同共々そそくさと乗り込みました。
私は、窓側の席に座れたお陰で、
なかなかいい風景を見ることが出来ました。
当日の空路上の天候は、おおむね晴れといったところ。
羽田を飛び立って、すぐに熟睡してしまったのですが、
ほんの50分ほどで目が覚めてしまうと、
窓の下には、それはそれは見事な雲の海が広がってました。
絵に描いたような、
NHKの美術さんが作ったような雲が眼下に広がっているではありませんか。
『もくもく』という字がぴったりの雲や
本当に綿をちぎったような雲が次々に現われては消え、
現われては消えといった具合なのです。
これって、漫画みたいに人間が乗れるんじゃないか?と
思えるしっかりした塊の雲も流れてきたりするのです。
子供じゃないけど本気で『乗ってみたい!』と思う私。
その風景だけでも満足な空の旅になりました。
やがて、飛行機は高度を下げはじめ、そんな雲を抜けると、
眼下には北の大地が広がります。
東京とは明らかに色の違う緑の大地。
飛行機は、そんな大地を飛び続け、
そのままオホーツク海へと飛んで行き、
眼下には、北の海が一面に広がったのです・・・って、
あれ?紋別空港に降りないの?
これって、樺太行きだっけ?と焦ってしまうほどに
オホーツク海に出てから大きく旋回して紋別に着陸です。
予想以上に小さい空港の建物に多少の戸惑いを感じつつも
記念の写真を撮りました。
今までに経験した空港で一番小さかったのは、
沖縄県の久米島空港です。
着陸して空港の建物を見た時、田舎の鉄道の駅に見えました。
とても空港とは思えないささやかなものでして、
降りるところを間違えたんじゃなかろうかと思ったのを憶えてます。
その久米島に次ぐ人生で二番目に小さい空港でした。
空港で預けた荷物を受け取り、路線バスに乗って、ホテルへ。
なんと普通の路線バスなのですが、
ホテルの前に停まってくれるので、タクシーではなく、
路線バスに乗ったのです。
バスの中では、紋別の観光案内が永遠と流れていましたが、
その多くが冬場の観光の内容でして、
今聞いてもしょうがないだろうというものが多かった気がします。
紋別といえば、カニ、ホタテ、流氷と
やっぱり冬場のものを多く連想してしまいます。
バスの車窓からは、エゾジカと大きなカニのハサミのオブジェが見えました。
あのカニのハサミは何なのだろう?とても観光名所とは思えないし、
紋別市のマークでもあるまし、一体何なのか。
もしかしてその昔、日本中を席巻した『ふるさとそせい』なんとかで
もらったお金で作ってしまったのだろうか?などと
考えてるうちにバスは、ホテルに着いてしまいました。
チェックインした我ら一同の共通の思いが『腹減った』。
とにかく、昼飯にしようと全員一致の意見のもと、
フロントで聞いた定食屋さんに一路邁進するのです。
その定食屋さんは、干物が美味しいと評判だそうで、
私は、ほっけの開き定食(ごはん大盛り)を注文。出来上がるまで、
店の目の前にある紋別漁港を見学に。
絵に描いたような田舎の小さな漁港に少なからず感動を覚えました。
走り去る車の音以外に聞こえるのは、
ささやかな波の音とカモメの鳴き声だけ。
次の漁を静かに待つ漁船の姿に心を打たれました。
こんな何気ない風景が大好きです。
地元の方にとっては、ごく日常のありふれた風景でも
私らのようなビルしかない町に住んでる者にすれば、
心癒される暖かい風景なのです。
店に戻ると、ほどなく定食が出てきました。
うまいのなんの、ホッケは北海道に限りますなあ、
などとほざきつつ貪り食う私でした。
他のスタッフは、さんまや海鮮丼に舌鼓を打ちながら、
『さんまは、北海道に限るねえ』
『海鮮の新鮮さは、北海道が一番だねえ』などなど、
私と差ほど変わらぬごたくを並べつつ笑顔で箸を動かしてました。
干物や魚が美味しいのもそのはずで、
ここのお店で干物を作っていて、
当然、魚も目の前の漁港で仕入れてすぐの魚を捌いているのですから。
そして、干物が安いの何の!
最初は、干物1枚の値段かと思ったら、
4〜7枚ぶら下がった1串の値段で、
一同感動の声を上げたのでした。
このまま家に帰るのなら迷わず買うところですが、帰京するのは、2日後。
持って歩くわけにもいかないし、
送れば、送料の方が、う〜んと高くなってしまうので、
今回は、食べられたことだけで満足してお店を後にしました。
とりあえず、満腹になった私たちは、
明日の準備のため会場である市民会館へと向かいます。
海沿いから坂道を登ったところに会館はありました。
そこから見るオホーツク海もなかなかのものです。
ここまで来ると波の音は聞こえません。
走り去る車の音が消えると、本当に静かでした。
遠くにトンビの鳴き声が幽かに聞こえるぐらいで、
静か過ぎて怖いぐらいです。
ここにこうしていると、普段私たちがいかにうるさくて、
騒々しい世界で生きているのかが、よくわかります。
明日の準備と会館スタッフさんとの打ち合わせが済んでしまうと、
夕飯までの自由時間となりました。
皆はそれぞれに行動開始。
ホテルの温泉に直行する者、東京から持ってきた自分の仕事に邁進する者、
皆それぞれに、それなりの行動にでます。
私は、買い物がてら紋別見学に。
と言っても別にあてがあるわけでもなく、
一人ぶらぶらと町の中を歩くだけ。
実を言いますと、私、紋別に来るのは、初めてなのです。
今まで幾度となく北海道には、お伺いしましたが
紋別に来るチャンスが無かったのです。
25年ほど前、学生時代に一人旅の時にも
サロマ湖までは来たのですが、そこから網走に戻ってしまいました。
あの頃は列車とバスだけで北海道一周の旅をしてまして、
今よりJR(その頃は国鉄)が道内をいっぱい網羅していたので、
私のような旅をするのには適していたのに、
そう思うと『もっといろいろなところに行っときゃよかったなあ』と
しみじみ思うのでした。
さて、話を現在の紋別散歩に戻しましょう。
ぶらぶら歩きながらふと目をやると、道端にコスモスが咲いていました。
きれいなコスモスです。
海からの風に静かにみんな揃ってなびいていました。
また、違う方に目をやれば、ススキの穂が風に揺れています。
秋です、はっきりとした秋の風景の中に
いつの間にか身を置いていたのです。
そう思えば、吹いている風もしっかりと、秋を含んだ風でした。
頭の上には、その秋風に身を任せ優雅に飛ぶトンビが一羽。
こんなゆっくりした時間を感じるのは久しぶりです。
慌しい夏のイベント強化月間を終え、
こうして北海道でゆっくりとしっかりと
一足早い秋を感じれるなんて。ささやかな幸せを憶える私でした。
このままじっとしていよう、もうすこし風に吹かれていよう。
こんな贅沢な時間は久しぶりなのだから。
秋は、誰でも詩人にしてしまう魔法を
風と一緒に運んでくるらしい・・・な〜んて
柄にも無いことを考えつつ散歩を楽しむ私なのでした。
夕飯は、ホテルの中で一同うち揃っての宴会です。
ホタテ、カニ、お刺身とどれも大変美味しくいただきました。
そして感動的だったには、サッポロクラシックのビンビールです。
この銘柄は、なぜか北海道で飲まないと美味しくないのです。
これと同じなのが、沖縄のオリオンビールです。
あれの『生』を沖縄で飲んでしまうと、
東京のオリオンビールが偽物に思えてしまうから不思議です。
サッポロクラシックを堪能し、
そそくさとベットに潜り込み爆睡する私でした。
翌日のイベントは、盛況のうちに無事終了。
そこから、車で女満別空港に向かうのです。
相変わらずですね、この慌しさは。
女満別までは、車で約2時間程です。
そこから東京に帰る・・・・わけもなく、
そのまま新千歳空港に飛んで、
明日は、千歳市民会館でのイベントなのです。
こうしてみると昨日の紋別散歩が
ものすごく貴重な時間だったなあと、しみじみ思いつつ、
新千歳行きの飛行機に乗り込みました。
さあ、明日は、千歳です。
そして、次は山形県尾花沢市だ!その後は、軽井沢だ!
その週末は、番組収録だ〜あ〜あ〜。
誰か私を紋別に戻しておくれ〜詩人に返してくれ〜!