2012_10_01
先日、久しぶりにお会いしたイベント関係者の方が激ヤセしているのに驚きました。
なんでも数か月前に糖尿病で入院されたとのことでした。その方は、大のお酒好きで、私が知り合った20年以上前からお会いするたびに結構な量の酒を飲んでましたねえ。煙草は吸わない方でしたが、酒の量は相当なものでした。でも、それほどの偏食家でもなく、野菜も普通に食べてましたが、糖尿病になったのです。まあ、私が知らないところで、普段は好き勝手に飲み食いしてたんでしょうねえ〜、そうでもなきゃあ、患わなかったでしょう。
え〜、なんでこんな話を始めたかと申しますと、私の周りには、糖尿病患者がやたらといるんです。今や、日本の成人の多くが糖尿病患者もしくは、予備軍だという現代日本ですから、皆さんの周りにも糖尿病を患ってる方がいらっしゃることでしょう。私の場合、親族の多くが糖尿病でした。祖母、父親、叔父、叔母、姉(これは予備軍でした)とまあ〜いっぱいおります。
さて、私の父の場合ですが、40代で発覚しました。その頃、やたらと「疲れた、疲れた」と言っていた父。その父が、仕事帰りに「たい焼き」を5,6個買ってきては、夕飯前に一人で全部食べてました。にもかかわらず、みるみると痩せていくではありませんか。それと、やたらと水を飲んでました。一晩に2リットルのペットボトルを空にしてました。本人もこれはおかしすぎると思って、やっと病院に行って検査をしたところ、何のためらいもなく医師は「糖尿病です。」と告げたそうです。この時にはもうだいぶ進行していて、相当強い薬をもらってきました。その後も一応は、食事療法なども心がけてはいましたが、根本的に治るようなことはありませんでした。
普段から大食漢だった父だったものですから、あまりにも制限してしまうのもかわいそうな気がして、私も母も大目に見過ごしてやっていたところもありました。そのうちに、インシュリンの注射を自分で打つようになったのです。それまで、私はインシュリンという薬の存在も知らなかったし、ましてや、自分の父親が、自分でそれを注射するなんて思ってもみませんでした。ある日、父親の枕元に注射器と針を見つけた時、「え?まさか、ヤバイ薬?」と、一瞬、わが父親のことながら疑いましたよ。その甲斐あってか、一時的ではありましたが、糖尿病の進行は押さえられたように思えました。
でもその時は来ました。前の晩は、普通に話をして、普通に寝たのですが、その日の朝、父の様子がおかしいのです。自分で立つこともできず、呂律も回らなくなってました。脳梗塞です。糖尿病が何が怖いかって、合併症なのです。その最たるものが、脳梗塞です。とにもかくにも母と抱きかかれるようにして、病院に連れて行ったのですが、あの時のつらさを忘れられません。診察室から車いすで出てきた父の姿を今でも思い出せます。私にとっては、いつも元気で、威張っていた父親が、車いすで運ばれているのは、見るのもつらかった。あんなに大きな父親が初めて自分より小さくなってしまったような、とってもつらい瞬間でした。
それからというもの、一段と厳しい食事制限と水分の制限が始まりました。といっても完治するわけがなく、やがて、左目の視力が低下し、車の免許もダメになりました。そして、人工透析を余儀なくされたのです。こうなると、障害者手帳が届きました。これには父も相当なショックを受けてましたねえ。「俺もこうなったのか。」と手帳を見つめて小声でつぶやく父。かける言葉がありません。父は、若い時から車が大好きで、一時は大型特殊まで免許を持っていたそうです。いっつも車を大切に手入れを欠かさなかった父が、免許を手放さなければならないなんて。私には一言の愚痴もこぼさなかった父。一度、透析中の父を見舞ったことがあります。そっと言葉も掛けずに近寄った私に薄目を開けた父は、何も言わず『帰れ、帰れ』と左手を振りました。息子には、見られたくない姿だったんでしょう。私だって見たくなかったですよ、本当は。
それ以降、父は、薬と透析の日々を送りました。そんな父より早く糖尿病になったのが叔父でした。そして、父より早くなくなりました。これも父には相当なショックだったようです。私の父方の人間は、ほとんど酒は飲みません。父は多少太ってましたが、他の親族は皆やせ型の体型でした。それでも糖尿病が多かったのです。糖尿病は遺伝だ、とか言いますが、遺伝というよりも食べ物でしょう。小さい時から同じものを食べてるわけですから、それが大きな要因でしょうねえ。ですから、私もやがて出るかもしれませんが、今のところ、大丈夫です。成人になってから数度の尿検査を経験しましたが、一度も指摘されたことがありません。でも、これから先、いつ出るかドキドキものです。もし、皆さんの周りに糖尿病の方がいらしたら、とにもかくにも食事療法です。周りの人間が心を鬼にしてでも食べさせないことです。これが私の経験からの対処法です。